佐藤伸

イスラーム教徒の受刑者が疎外感を感じるときに、死後の世界を保障するジハードを説く声は、過激派がジハーディストを勧誘する格好の機会だ。しかも「イスラーム教の十分な知識がない青少年のほうがそうした影響を受けやすい」のだという。 欧州最大のイスラーム人口を抱えるフランスからは1400人が「イスラーム国」に加わった、とされる。報道機関襲撃事件という衝撃的な事件をきっかけにイスラーム教徒のフランス社会への同化のあり方が問題視されているが、これは逆に、フランスが宗教や人種に分け隔てなく移民を受け入れてきた寛容な政策の負の側面でもある。「政教分離」が徹底するフランスは、政教分離などフランスの価値を受け入れれば国民として受け入れる原則を貫いてきたのだ。